KEI.'s blog

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その腹筋運動は競技パフォーマンス向上に効果的か?

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こんにちは。

KEI.です!

 

バキバキに割れた腹筋。

男だったら誰もが憧れるかと思います。

最近では女性でも腹筋を割ろうとする人は多いようです。

 

腹筋を6つに割るだけが目的であれば、正直どんな方法でもいいと思います。

ただパフォーマンスを上げるために~となったら話は別じゃないかと。

手段はたくさんあると思いますが、

今回は「姿勢をニュートラルに戻す」ことについて書いていこうと思います。

 

 

腹筋の役割

腹筋群(腹直筋、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋)の働きはどのようなものがあるでしょう?

 

スポーツ中に実際の動きとして現れるのは、

  • 背骨(脊柱・主に腰椎)を安定させる
  • 背骨(脊柱・主に胸椎)を動かす

の2点になるかと思います。

 

脊柱を安定させる

人が動くとき、予備動作としてまず腹部の筋と背部の筋が働きます。

これによって腹腔内圧が高まり、脊柱(主に腰椎)が安定し、力を効率よく伝えることができます。(腹部の筋は腹腔内圧を高めることで、対して背部の筋は直接脊柱に力を伝えることで脊柱を安定させる。)

例えば、いま自分の横に置いてある鞄を持ち上げようとすれば、腕の筋が働くよりも先に腹部の筋肉に力が入るのがわかるかと思います。

 

もちろん歩いたり走ったりしているときも腹部の筋は働きます。

この機能が低下すると、動作が不安定になったり、腰痛、股関節痛等の症状となって現れることもあります。

 

プランクなどに代表される、スタビリティのトレーニングは、この機能を向上させることを目的に行います↓

 


腹筋 : プランク

 

またこの機能は、バーベルスクワットやデッドリフトのようなウェイトトレーニングでも向上させることができ、上記のようなトレーニング(一般に体幹トレーニングやコアトレーニングといわれる)でなければ向上できないわけではないです。

(これはまた今度書いていきたいと思います。)

 

前方に曲げる力は必要か?

さてここからが本題です。

 

腹筋群による脊柱を安定させる機能は、大きな力や、効率の良い力発揮のために重要です。
しかし、腹筋群の機能はそれだけではなく、逆に脊柱を動かすことも担っています。

 

脊柱の動き 

脊柱の動きは大きく分けると、

  • 側屈(横に倒す、左右あり)
  • 屈曲(もしくは前屈・前に倒す)
  • 伸展(もしくは後屈・後ろに倒す)
  • 回旋(もしくは捻転・捻る、左右あり)

の4種類6方向の動きになります。

(これらを組み合わせて斜めに曲げたり、ぐるっと身体を回したりします。)

 

腹筋の働きによる脊柱の動き

腹筋群には、腹直筋、腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋等があります。

それぞれの筋は骨盤から肋骨や胸骨に付着しているため、脊柱を伸展(後屈)させるのは腹筋群の働きではありません。

つまり腹筋群が働く(収縮する)ことによって生まれる動きは、上記の4つの脊柱の動きのうち、側屈・屈曲・回旋の3種類4方向です。

 

そのため腹筋群をトレーニングするのに、この動画のような、仰向けの状態(背骨がニュートラルな状態)から身体の前方向に体幹部を屈曲するトレーニングが頻繁に行われています↓


シットアップ/腹筋/筋トレ実践講座

 

しかしよく考えると、この動きを立位で行う場合は、お辞儀や前屈の動きです。

この動きに大きな力を使う必要はなく、力を抜けば重力によって自然に行うことのできます。

この動きで大きな力を発揮しなければいけないのは、仰向けあるいは座位に限られます。

 

立位において腹筋を使って身体を曲げる動きは非常に少ないと言えます。

 

姿勢をニュートラルに戻す

先に書いたように、腹筋の機能として脊柱を動かすというものがあるものの、それをトレーニングする際には、ニュートラルの状態から身体の前方向に背骨を曲げるトレーニング(シットアップなど)である場合が多いです。

 

しかし、実際のスポーツでは、多くの競技が立った状態で行われます。

先述したように、立位では腹筋を使って身体を前方向に曲げる動き(シットアップのような)は少ないです。

 

基本姿勢を立位として考えた時、腹筋の働きとして重要なのは

  1.基本姿勢(ニュートラル)を維持すること

  2.ニュートラルから伸展・屈曲・回旋の動きをコントロールすること

  3.姿勢をニュートラルに戻すこと

です。

 

基本姿勢を維持する

1は最初に書いたように、プランク等のトレーニングやウェイトトレーニングで向上させることが望めます。

 

ニュートラルの姿勢からの動きをコントロールする

2はどういうことかというと、例えばサッカーのシュート時のテイクバックをイメージしてください。

この時、上体を大きく反らせるのは背部の筋(脊柱起立筋や広背筋など)や臀部の筋(大殿筋など)の働きです。

しかし同時に、その動きをコントロールするために、腹筋群が伸ばされながら収縮(エキセントリック収縮)をしています↓

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これによって、上体を反りすぎて姿勢が過剰に崩れたり、腰(腰椎)に負担がかかったりするのを防いでいます。

同じことは、テニスのラケットスイングのテイクバックや野球のピッチング動作でもいえます。

姿勢をニュートラルに戻す

3は、ニュートラルから外れた姿勢から、もとの姿勢に戻すときに起こります。

シュート時のテイクバックからボールインパクトに至るまでの力発揮や、テニスのスイング動作の力発揮時にはこの働きが起こります。

また、相手のタックルや動きによって崩れた姿勢を立て直す際のにもこの働きです。

 

シットアップを基本とした仰向けでのトレーニングは、以上3つとは異なり、ニュートラルの姿勢から動かす、といった動きであるため、トレーニングの目的によっては効果的とは言えない可能性があります。

(こういうのとかも↓)


腹斜筋(脇腹)の筋トレ-ツイストクランチ/筋肉アップ

 

トレーニング

では実際にこのような動きをどうトレーニングしたら良いかというと、

アイデアとしてはバランスボールを使う(伸展位からの屈曲)↓

www.youtube.com

 

ローラーを使う(ニュートラルの姿勢をキープ、あるいはニュートラルのからの動きをコントロール)↓


コスパ最強「腹筋ローラー」で筋トレ!

 

段差を使う(側屈位から戻す)(1分5秒から)


【筋肉NFL】驚異の身体能力!デズ・ブライアントのトレーニング風景!

 

これ以外にも例えば回旋系の動きをトレーニングしたければケーブルを使うなどの方法もあるかと思います。

 

開始姿勢をニュートラルの姿勢から外してみたり、腹筋ローラーなど腹筋群を伸ばしながら力を発揮すること(エキセントリック収縮)を意識することで、先に述べた3つの要素をトレーニングすることができるでしょう。

 

腰痛に注意

脊柱を動かすことは、方法によっては腰椎に負担がかかり、腰痛につながる危険があります。

そして、トレーニングの強度を高める、動きが大きくなることでそのリスクは高まります。

特にもともと腰痛を持っている選手は、このようなトレーニングを取り入れるかどうかは考える必要があります。

 

まとめ 

今回言いたかったのは、

・腹筋のトレーニングを行う際に、ただ身体の前方向に曲げる動きは、仰向けだから成立するわけで、立位になったらその動きに大きな力を発揮する必要はない。

・立位で腹筋を働かせる必要があるのは、ニュートラルの姿勢から動かすときではなく、動きをコントロールするときニュートラルの姿勢に戻すときだ。

ということでした。

 

もちろん基礎的な筋力を~という目的であれば、シットアップやツイストクランチのようなトレーニングが必要な場合もあるかもしれません。

しかし、より効果的にと考えた時にはそれだけでは不十分でしょう。

 

ぜひ、トレーニングの際には考えてみてください。

 

結論

腹筋の働きの一つは姿勢をニュートラルに戻すこと。

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