こんにちは。
5月も中旬に入りましたが、これから7月まで祝日がないと知り悲しい気持ちになっていますKEI.です。
ある目的を持ってトレーニングを実施する際には、 そのトレーニングを
- どれくらいやるか(強度・量)
- どれくらい休息するか
考える必要が出てくる場合があります、というかそういう場合が多いです。
強度と量に関しては、以前の記事でも触れました。
今回は以前とは少し違った視点からです。
ということで、タイトル通りの内容で書いていきます。
実行時間・回数と休息時間
ウェイトトレーニングを例に挙げて考えてみます。
スクワット重量で行うことを考えたとき、1RM100㎏のAさんは、最大筋力の向上を狙う場合85~95㎏程度の重量で行うのが効果的です。
その重量であれば反復回数は3~5回ほどになると思われます。
今回Aは、1セット目90㎏で3回反復しました。
ここで2セット目に移行するまでの間に休息をとります。
3~5分の休息を置いたのち、2セット目に移りますが、この時なぜ3~5分程度の休息をとる必要があるのでしょうか?1分じゃダメなんでしょうか?2分じゃダメなんでしょうか?
なぜこれくらいの休息時間が必要かといえば、それくらい休まなければ2セット目で必要なだけの力が出せないだろうと考えられるからです。
1分間の休息では、十分な回復ができず、自分の最大筋力の90%もの力を出すことはむずかしいです。
もしも1分の休息で行おうとすれば、おそらく重量を下げる、あるいは反復回数を減らさないと実行できないでしょう。
もしもそれでも1分後に実行しようとして、80㎏の重量で3回行ったとしたら、Aは自分のMaxの80%の筋力しか発揮していないことになり、それでは最大筋力を向上させるのに十分な刺激とはいいきれません。
今回のトレーニングの目的からは少し外れてしまいます。
では、Aが筋の肥大を目的にスクワットを行う場合はどうでしょう。
この場合運動強度が下がります。
なぜなら最大筋力の向上とは違い、筋肥大の場合は物理的ストレス(筋に力学的に与えるストレス、今回は挙上重量)だけでなく化学的ストレス(筋内の環境を変える、ホルモンなど)も重要となってくるからです。
化学的ストレスを加える手段の一つとして反復回数を増やすという方法があり、そのため
「筋肥大の場合は8~12回ほど反復して~」
と一般的に言われています。
また、休息時間が長いとその間に筋内の環境が戻っていってしまうため、
「セット間の休息は1分から1分半」
と言われたりします。(最近は休息時間が短い→疲労でセットごとに重量が下がるor筋出力が低下する→物理的ストレスが下がるから結局トータルで効果は変わらない→休息は十分にとった方がいい、という考えおよび研究結果も出ているようです。。。)
つまり同じスクワットという運動を行うとしても、目的によって
- 強度(重量・①90㎏、②80㎏)
- 量(回数・①は3~5回、②は8~12回)
- 休息時間(①3~5分、②1~1.5分)
が変わっているということです。
最大の力を発揮しなければならない場合は運動の強度を高め、量を減らし(というか減ってしまう)、十分な休息時間を設けます。
そうでない場合、そうでないほうがいい場合には、運動強度を下げることで量を確保し、さらい回復時間も短くするという選択もできます。
ウェイトトレーニングを例に考えると多くの人が納得すると思いますし、実際にこんな感じで行っていると思います。
では次の場合を考えてみましょう。
スピードを上げたいのか持久力を上げたいのか
走るスピードを向上させたいとき、どうするでしょうか?
走りますね。
アジリティや方向転換能力を向上させたい場合は?
走ります。(方向転換が入るが)
では、持久力を向上させたいときは?
これも走ります。
ここまで書いたらなんとなくわかるかと思いますが、さきほどのウェイトトレーニングの例と一緒で、同じ走るという運動でも、目的によって強度・量・休息時間をコントロールする必要があります。
当たり前のことです。
スピードを向上させたいのであれば、フレッシュな状態で最大努力でのスプリントやパワートレーニングが必須となります。
フレッシュな状態で最大努力というのがポイントで、疲労した状態ではその人本来の100%が発揮できないからです。
自分の今ある最大スピード以上のものを獲得しようとしているのですから、一回一回のスプリントで十分な回復時間を設け、回復してから次のスプリントを行うことが重要です。
同様なことがアジリティや方向転換のトレーニングでも言えます。
こちらも、もしも連続した方向転換を行なってもスピード落ちないようにすること、が目的ならば、休息時間を短くしてどんどん行って行く必要があります。(これは持久的な能力の向上です。)
しかし方向転換のスピードそれ自体を向上させたいのであれば、1セット1セットをフレッシュな状態で行う必要があります。
また、休息時間とともに、運動の継続時間にも注意が必要です。
人が最大努力で運動を行う際には、ATP-CP系といわれるエネルギー代謝機構がメインに利用されます。
ATP-CP系は強度の高い運動時にエネルギーを生産してくれますが、全力運動では8秒ほどで枯渇してしまいます。(そのあとは別のエネルギー代謝機構がメインとなって働くことになります)
最大努力での全力運動が行えるのは、およそ10秒以内ということになります。(100m走でも、トップ選手も最後までトップスピードを維持することはできない)
と考えるとスピードやアジリティを向上させたければ、10秒以内、疲れて動きが遅くなるまえまで、で行うのが効果的と考えられます。
つまり、
コーンをジグザグに走る方向転換のトレーニングを行ったとして、それを10秒以内の短時間で行い、十分な回復時間を経てセットを重ねていけばアジリティトレーニングに、
もしも20秒間行い、回復しきらないうちに次のセットを行えば、それはアジリティトレーニングではなく、持久力のトレーニングとなります。(スピード持久力、無酸素性持久力と呼ばれるような)
これはどちらがいいか悪いかではなく、目的次第で設定を変えなければいけない、ということです。
疲労とトレーニング
ここまで書いたように、疲労した状態で最大の筋力やパワーを発揮する必要があるトレーニングを行うことは、効果的とはいえません。
そのために基本的に複数の運動を1回のトレーニングに組み込むときは、強度の高いものから行うのが基本です。
また同様の理由から、パワー系やプライオメトリクス、スプリント、アジリティトレーニング等はチームトレーニング後に行うのも効果的とはいえません。疲れた状態でやっても本来の100%が出せないからです。
しかし、持久系トレーニングならば、運動強度自体は高くないため、チームトレーニング後であっても取り組んでもいいでしょう。
このように考えていくとそのトレーニングはどのタイミングで行った方が効果的か、身体的な状態にあわせてどんなことはやった方がよくて、どんなことは休んだ方がいいのかも分かってくるのではないでしょうか。
まとめ
同じ運動だとしても、強度・量・休息時間で効果が変わってきます。
フレッシュな状態で取り組むべきトレーニングもあるのにもかかわらず、
きついこと=いいことだ
と考えてしまうと、ただ追い込んで行くことが目的になってしまいます。
目的は何なのかという部分をはっきりさせて取り組むことが必要です、という話でした。