こんにちは。
KEI.です。
今回は、怪我をしたときにお馴染みのアイシングについて書きたいと思います。
例えばあなたが足首を捻挫してしまったとします。
多くの人がまず冷やそうと考えるかと思います。 そうアイシングですね。
冷たいけど痛みがやわらいでいくし、怪我が良くなっていく気がしますよね。
そのまま2週間アイシングを続けたとします。 「だってまだ捻挫は治ってないし、早く治すためにアイシングをしっかりやってるんだ!」
こう考える人は少なくないと思います。
では、なぜ冷やすのか理解できている人はどれくらいいるでしょうか?
アイシングをすると怪我がすぐ治るから?
本当にそうでしょうか。
アイシングはRICE処置と呼ばれる応急処置の一部です。
RICE処置に関しては、以下のリンク先を参考にしてみてください↓。
1.アイシングが怪我の治癒を遅らせる可能性
アイシングは前述したようにRICE処置の一部です。
RICE処置に関しては別記事を読んでいただきたいのですが、現在日本では応急処置法として最も主流な方法だと思われます。
RICE処置は、傷害発生後に急速に起こる過剰な炎症反応(腫脹、熱感、発赤、疼痛[じんじんした痛み]、それに付随して起こる可動域制限など)を抑制し、コントロールすることを目的として行われてきました。
過剰な炎症反応は、周りの健康な組織を二次的に破壊してしまうために、それを防ぐことが必要だと考えられているからです。
通常24~72時間継続して行うのが良いとされています。
またアイシングは疲労回復の効果もあるとされ、スポーツの現場では、トレーニングや試合後にアイシングを行う選手が多くみられます。
登板後に肩を冷やしているピッチャーがイメージしやすいかと思います。
しかし、現在主流となりつつある主張は、アイシングに対して否定的なものです。
その根拠となる考え方は
「炎症はダメージを受けた組織の再構築への最初の生理的プロセスである。」 (月間スポーツメディスン2016年9月号 P.41より引用)
というものです。
MLBではアイシングを行わない?
2016年9月発行月間スポーツメディスン9月号に、
「MLB(メジャーリーグベースボール)における選手のリカバリーコンディショニングの現状(2)-投手の肩は冷やすべき? 肘・肩のコンデショニング」
というテーマが掲載されていました。
要点をまとめると以下のようになります。
登板後のピッチャーにアイシングを押すメジャーリーグ球団は少なくなってきている。
炎症を起こさなければ組織の再構築は始まらないため、リカバリーとしてのアイシングは行わないという考え方。
RICEの生みの親、DR.Gabe Markin氏は2014年に、RICE処置はおそらく治癒を遅らせると伝えている。
全身アイスバスは有効 (中枢神経の活動量を減らすことがリカバリーの優先事項として理解されつつあるため)→このテーマに関しては今後記事を書いていこうと置きます!
この記事から読み取ると、時代の流れとしてリカバリーやコンディショニングの際にアイシングを行わない流れが来ているようです。
炎症反応は身体に起きたダメージを修復するための生理反応です。
しかし、疲労回復や、慢性痛に対してアイシング、また長期間のアイシングは、その部位を修復しようとする炎症反応を抑制してしまうことであり、それにより逆に回復が遅れてしまう、というのです。
アイシングは悪か?
それではアイシングはやってはいけないことなのでしょうか?
今回取り上げた記事はリカバリー時のアイシングにおける否定的な主張が書かれていました。
慢性化した傷害も同様の理由からアイシングは行わないという流れが生まれているようです。
しかし、現段階では、怪我をした直後のアイシング、RICE処置に関しては、行うべきだという考えが多いようです。 また、症状が強く腫れが大きくなった場合にも行うほうが良いと考えられています。
つまり、アイシング自体が悪だというわけではなく、その使い方に問題がある、といえるでしょう。
2.現在のアイシングの考え方
現在アイシングの正しい効果は、鎮痛のみと考えられています。
これまで炎症の抑制が効果として挙げられていましたが、炎症反応自体が身体を正常に回復させるために必要な反応であるため、それを抑制してしまうのは正しくないという考えが生まれてきています。
アイシングについてまとめると以下のようになります。
アイシングをリカバリー目的、慢性傷害に利用することは治癒を遅らせる可能性がある。
傷害発生後、長期的なアイシングは治癒を遅らせる可能性がある。
受傷直後に腫れや痛み、可動域制限が大きい場合はアイシングを含むRICE処置を行うほうが良い可能性がある。
これはあくまで現段階での主流となりつつある考え方であり、今後これが多く変わる可能性は十分にあります。(なので全部「可能性」という言葉をつけています)
現在僕の所属しているチームではまさにこの考え方で選手に指導していますが、それでもアイシングを好む選手は多いです。
3.まとめ
今回は、アイシングに対する否定的な意見をまとめましたが、重要なのは、正しい情報を取得しようとすることと、自分の意見と根拠を持つことだと思います。
もしかしたら数年後にはアイシングが再度有効だと考えられるようになっている可能性もあります。
一つの考えに固執するのではなく様々な考えを取り入れたうえで、判断していくことが必要だと感じています。
また、スポーツメディスンでは以前にもアイシングに関するテーマを取り上げていたのでぜひ読んでみてください。↓ www.fujisan.co.jp
ありがとうございました。
結論
冷やせばいいってもんじゃない!